頭頸部腫瘍
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副損傷回避のために-頸部郭清術: 胸管
毛利 光宏天津 睦郎
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1997 年 23 巻 3 号 p. 660-664

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抄録

頸部郭清術後, 胸管損傷によって生じる乳糜漏はその治療にしばしば難渋する。当科で行っている胸管損傷防止法を, その手術術式を中心に報告した。
胸管をその静脈流入部で確認し, 胸管の走行を明らかにすることで胸管の損傷を防ぐものである。まず第一段階は静脈系を静脈角を中心として広範囲に露出することであり, これは頸動脈鞘を開放して内頸静脈に沿って下方に剥離することで達成される。第2段階は胸管を確認し, 周囲から胸管に流入するリンパ管を結紮切断しながら弓状をなす胸管の頂上までその走行を明らかにする。
この方法では胸管の走行を明視することで, 胸管ぎりぎりまで郭清が可能となること, 胸管の保存が可能となること, が特徴である。欠点としては多少時間がかかることだが許容範囲内と考えている。

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© 日本頭頸部癌学会
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