頭頸部腫瘍
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上皮成長因子受容体と放射線感受性
宮口 衛久保 武
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1998 年 24 巻 1 号 p. 25-28

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抄録

上皮成長因子受容体 (EGFR) は放射線治療を施行した喉頭癌および三者併用療法を施行した上顎癌の局所再発率と有意の相関があることを報告してきた。今回同一の上顎癌患者から樹立された3株 (IMC-2, 3, 4) を用いてEGFRと放射線感受性との関係を検討した。EGFRは免疫染色にて各々100個の細胞のEGFR染色濃度を画像解析装置を用いて定量した。放射線感受性は1, 2, 4, 6Gy照射後のコロニー形成率から細胞生存率を求めた。EGFRはIMC-2>IMC-3>IMC-4の順に多く出現していた (P<0.001)。1, 2, 4GyではIMC-2>IMC-3>IMC-4の順に細胞生存率が高かった。IMC-2: IMC-3間では有意差は認めなかったがIMC-2: IMC-4, IMC-3: IMC-4間で有意差を認めた (P<0.01もしくはP<0.001)。EGFR出現量と放射線感受性が相関することが示唆された。従ってEGFRが過剰発現している細胞ほど放射線感受性が低く, EGFR出現量が喉頭癌, 上顎癌の局所再発と有意に相関していた臨床結果を支持する結果が得られた。

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© 日本頭頸部癌学会
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