1998 年 24 巻 1 号 p. 90-96
頭頸部癌の Stade IV症例の予後に影響を与える因子について検討した。当科において過去11年間に一次治療を施行した Stage IV症例179例を対象とし, その詳細について長期予後に注目して検討した。生存率は Kaplan-Meier 法を用いて算定し, 各群の検定には logrank 法を用いた。その結果, T分類では, 予後に有意な差はみられなかったが, N分類, M分類は予後を左右する因子と考えられた。さらに, 頸部リンパ節転移においては, 超音波画像で診断した浸潤の有無および程度も予後を反映することが示唆され, とくにN2症例の予後を決定する因子となりうると考えた。治療法では, 根治手術を施行した群が放射線治療群より予後が良好ではあったが, 頸部リンパ節転移の浸潤が診断されていた例では, 根治手術後の予後が不良であった。Stage IV症例では, 頸部リンパ節転移の有無および, その浸潤の有無と程度が予後を決定する重要な因子であると考えられた。