頭頸部腫瘍
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中咽頭癌の治療
とくに原発巣の制御について
稲上 憲一佐藤 武男吉野 邦俊藤井 隆長原 昌萬桃原 実大
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1999 年 25 巻 1 号 p. 163-168

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抄録

1979年から'95年までの17年間に当科で根治治療した中咽頭扁平上皮癌の成績をもとに原発巣の治療指針を立てた。症例は後壁を除き舌根, 扁桃 (舌扁桃溝を含む), 軟口蓋~前口蓋弓の3つの部位に分けた。制御率算定の対象は153例で, それぞれ41例, 71例, 41例であった。局所制御率は舌根では照射T1 3/3 (100%), T2 7/8 (88%), T3 3/3 (100%), 手術T1 2/3 (67%), T2 10/10 (100%), T3 6/9 (67%)で, 扁桃では照射T1 8/8 (100%), T2 22/26 (85%) T3 7/11 (64%), 手術T1 4/4 (100%), T2 5/7 (71%), T3 6/11 (55%) であった。一方, 軟口蓋~前口蓋弓は照射T1 0/3 (0%), T2 8/18 (44%), T3 3/7 (43%), 手術はT1 6/7 (86%), T2 2/2 (100%) と原発巣が小さいにも関わらず照射による制御が不良であった。放射線治療に手術が重なると治療後の機能障害が大きくなることを考えれば舌根, 扁桃のT1, T2であれば照射を, T3以上であれば手術が第一選択に, 軟口蓋, 前口蓋弓は T stage に関わらず手術が第一選択になると考えた。

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© 日本頭頸部癌学会
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