頭頸部腫瘍
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大唾液腺粘表皮癌の治療方針
特に診断手順について
河田 了中井 茂福島 龍之平田 行宏久 育男村上 泰
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1999 年 25 巻 1 号 p. 25-29

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抄録

最近10年間に経験した大唾液腺粘表皮癌症例11例について検討し, その適切な診断手順を考察した。一般に粘表皮癌の術前診断は難しく, 悪性度診断にいたってはほとんど不可能といってよい。画像診断 (CT, MRI, エコー) では, 高悪性型の場合, 悪性パターンを示すことが多いが, 低悪性型では良性パターンを示すものが多かった。穿刺吸引細胞診 (FNA) によって粘表皮癌と診断できた症例は11例中4例であったが, 悪性度まで診断できた症例は皆無であった。そこで, 最近では, 粘表皮癌と診断されたあるいは強く疑われた症例に対して, その悪性度を判定する目的で腫瘍摘出術を前提とした, 腫瘍生検 (open biopsy) を施行している。それにより悪性度が正しく診断されることによって, 初めて適切な手術方針が決定でき, 患者に顔面神経の処理等につき正しく説明できるだけでなく, 追加手術を必要とする症例もなくなった。

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© 日本頭頸部癌学会
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