頭頸部腫瘍
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下顎骨の切除範囲の設定と機能温存―耳鼻科医の立場より―
吉積 隆佐竹 文介宇留間 哲也香取 秀明鵜飼 潤上田 和毅
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1999 年 25 巻 3 号 p. 413-420

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抄録

群馬県立がんセンターにおける頭頸部がん下顎切除症例を集計し, 切除範囲の設定, 骨再建の要否について検討した。過去24年間に当科で下顎骨切除を行った頭頸部がん症例は79例であった。対象疾患は, 下歯肉癌43例, 口腔底癌25例, 頬粘膜癌6例, 中咽頭癌5例であり, 5年累積生存率はそれぞれ41%, 50%, 33%, 0%であった。下顎切除法別では区域切除43例, 辺縁切除24例, 半切ないし亜全摘12例である。5年累積生存率はそれぞれ53%, 50%, 0%であった。原発巣再発は25例に認めたが骨断端再発が疑われたのは5例で, 進展例で軟部組織切除の設定範囲の拡大を考慮すべき結果であったが, 一方では辺縁切除後の骨断端再発はなく適応拡大の可能性が示唆された。1990年以降, 血管柄付き骨移植が区域切除10例, 辺縁切除1例に行われ良好な結果を得たが, 術後の咬合咀嚼機能は十分とはいえずさらに改善が必要と考えた。

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© 日本頭頸部癌学会
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