頭頸部腫瘍
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下咽頭癌に対するUICC新TNM分類の問題点と妥当性
長谷川 泰久松本 昇松浦 秀博中山 敏藤本 保志竹内 秀行菅沼 良規鈴木 幸一郎
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キーワード: 下咽頭癌, TNM分類, 頭頸部癌
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1999 年 25 巻 3 号 p. 446-452

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抄録

新TNM分類で下咽頭癌はTカテゴリーと病期IVの細分化が変更された。その臨床的問題点と妥当性について検討した。1985年4月より1997年12月までに愛知県がんセンターにおいて治療を行った一次例100例の内, 再評価が可能な94例を対象とした。画像診断より腫瘍径と亜部位を再評価しTと病期を再分類した。18例, 19%でTが変更された。病期では5例, 5%が変更となった。手術例84例の5年生存率 (Kaplan-Meier 法) は新T2: 76%, T3: 38%, T4: 41%; 新病期II: 75%, III: 68%, IVA: 47%, IVB: 23%であった。Tカテゴリーの変更によりT2からT3への移行が多く, 生存率ではT2-T3の差が大きくT3-T4の差が少なくなった。病期については, リンパ節転移による進行癌が多い下咽頭癌では病期IVに種々の病態が含まれ, その細分化が臨床上望まれていたが, 今回の検討では妥当な新病期分類と思われた。

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© 日本頭頸部癌学会
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