頭頸部腫瘍
Online ISSN : 1883-9878
Print ISSN : 0911-4335
ISSN-L : 0911-4335
側頭骨亜全摘 (聴器癌) の術式
中川 尚志名取 良弘熊本 芳彦小宮山 荘太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 27 巻 3 号 p. 585-590

詳細
抄録

当科では側頭骨悪性腫瘍に対して広範に腫瘍摘出をはかる側頭骨亜全摘を行っている。中耳進展例は原則として側頭骨亜全摘の適応と考えている。しかしながら, (1) 内頸動脈に沿って錐体尖端へ進展した例, (2) 硬膜浸潤例, (3) 転移症例など予後不良が予測される症例は保存的治療を選択している。腫瘍の進展範囲は治療前のCT, MRIを用いて決定する。摘出範囲は腫瘍組織周辺の健常部を含めることが原則である。乳突洞後部から削開し, 中耳内側壁を切除側につけ, 前庭, 内耳道, 蝸牛, 頸静脈孔, 内頸動脈管を開放する。側頭開頭を行い, 中頭蓋側から脈管を明視下におきながら骨切りを行う。出血が多く処理が難しい関節包から頸静脈孔周囲の軟部組織は, 最後に充分に視野を確保して切除する。

著者関連情報
© 日本頭頸部癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top