進展舌癌において, 従来から行われてきた拡大切除について見直し, 術前治療効果を考慮した原発巣切除法の選択と臓器, 機能温存の可能性について検討を行った。43例の切除可能進展舌癌症例に対し, 術前放射線化学同時併用療法施行後, 従来の切除法にて手術を行ない, 術前治療効果と組織学的効果について検討した。術前治療による臨床効果と組織学的効果との関連では, 下里分類 Grade II b以上の効果を得るには, 85%以上の縮小率が必要であり, また, 85%以上の縮小率が得られた症例では, それ以外のものに比べ, 平面的にも深部的にも腫瘍残存範囲や残存率が低く, 残存していても中央部浅層にのみ限局して残存する傾向が認められた。そのため, これらの症例には, 進行癌においても拡大切除を回避し, 切除範囲を縮小し, 形態と機能温存を目指した縮小手術が可能であることが示唆された。