2002 年 28 巻 1 号 p. 119-124
原発不明頸部転移癌11例についてその転帰, 予後について臨床的検討を加えた。未治療例1例を除く10例に対して, 一次治療として頸部郭清術を施行した。術後補助療法として化学療法を8例に, また放射線療法を1例に施行し, 手術単独であった症例は1例のみであった。経過途中で原発巣の判明した症例は5例で, 初診時から平均22か月で原発巣が判明した。遠隔転移は5例中2例に認めた。不明のまま経過した症例は6例で, 未治療例1例を除く5症例は, その後経過中に全例が局所再発を来し (再発までの平均期間は8.4か月), また4例が遠隔転移を来した。10例全体の5年生存率は38.4%であった。5年生存率は原発不明例20.0%, 原発部位判明例66.7%であったが, 両者の生存率に有意差は認められなかった。治療については手術療法を主体とすべきであるが, 術後補助療法については更なる検討を重ねる必要があると思われた。