頭頸部腫瘍
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頸部神経原性腫瘍の画像による起源神経同定についての考察
服部 賢二中川 崇岩田 伸子猪原 秀典久保 武
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2002 年 28 巻 1 号 p. 125-129

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抄録

手術により摘出し起源神経を同定し得た頸部神経原性腫瘍6症例, および文献的に評価可能であった23例でCT, MRI画像を比較し, 起源神経と頸部大血管との特徴的位置関係について検討を行った。発生部位は, 副咽頭間隙を含む上深頸部が22例, 中, 下深頸部が7例であった。また, 迷走神経由来が15例, 交感神経幹由来が11例, 舌下神経由来が3例であった。
良性の頸部神経原性腫瘍では腫瘤以外の症状に乏しく, 摘出後神経脱落症状を示すことから術前の起源神経の同定が, 術後機能あるいはインフォームドコンセントの点で問題となる。迷走神経起源は内頸静脈と総頸あるいは内頸動脈との離開が腫瘍を中心として90°以上あり, 交感神経幹起源腫瘍ではこれらの動静脈間は90°未満の離開で動静脈は前外方に偏位していた。舌下神経起源腫瘍は動静脈間に離開なくこれらを後方に圧排していた。起源神経により画像上特徴的な所見を有し, 術前の鑑別診断に有用と考えられた。

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