28 巻 (2002) 1 号 p. 137-142
甲状腺乳頭癌の中で被膜外進展のあるpT4症例は再発や, 遠隔転移の多いことで知られている。今回我々は当科で手術加療を行った甲状腺乳頭癌pT4症例の治療成績を術後のサイログロブリン値 (Tg値) を用いて評価し, 若干の知見を得たので報告する。対象は過去14年間に当科で手術加療を行った, 甲状腺乳頭癌pT4症例43例である。甲状腺に対する術式は全摘36例, 他が7例であり, 合併切除器官は, 反回神経が29例, 気管が19例, 咽頭収縮筋や食道筋層16例, 他が7例であった。予後は, 平均観察期間7年3ケ月で, Kaplan-Meier 法による累積5年, 10年疾患特異的生存率はいずれも97.1%と良好であったが, 全摘した36例中, 術後Tg値の陰性化した症例は18例しかなかった。このことから, 甲状腺乳頭癌pT4症例では全摘したつもりでも, どこかに甲状腺組織が残存している症例が多いことが判った。