頭頸部腫瘍
Online ISSN : 1883-9878
Print ISSN : 0911-4335
ISSN-L : 0911-4335
喉頭温存を目的としたCDDP単剤併用化学放射線治療
第2相試験の治療成績
明神 美弥子西尾 正道西山 典明白井 敬祐田中 克彦
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 28 巻 1 号 p. 231-236

詳細
抄録

頭頸部癌手術可能例 (Stage II-IV) を対象として, Cisplatin (CDDP) 単剤による化学放射線治療の第2相試験 (non-randomized) を行なった。原病生存率および喉頭温存率の改善を目的として, 中咽頭癌11例 (前壁8, 後壁3), 下咽頭癌19例, および声門上部癌12例の計42例が1992年5月から1999年6月までに登録された。T3-4が21例 (50%), Stage III-IVが33例 (79%) であった。観察期間中央値は42ヶ月であった。治療成績の評価のため, 照射単独 (±計画手術) のコントロール群をこの研究開始前の10年間の症例から得て, matched pair analysis を施行した。治療方法は, 66Gy/30F/7.5 weeks の放射線治療期間に2 cycle のCDDP (20mg/m24日間, 4週間隔) を投与するものであった。5年原病生存率81%, 5年喉頭温存率63%であり, いずれもコントロール群より統計学的有意に優れていた。
中等量CDDPを併用した化学放射線治療の結果, 原病生存率および喉頭温存率のいずれもが改善される可能性が示唆された。

著者関連情報
© 日本頭頸部癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top