頭頸部腫瘍
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下咽頭梨下窩癌N2例に対する放射線治療
加賀美 芳和今井 敦伊藤 芳紀角 美奈子池田 恢大山 和一郎
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2002 年 28 巻 3 号 p. 531-534

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抄録

当院での放射線治療 (±頸部郭清) を一次治療として行った下咽頭梨下窩癌N2例について retrospective に検討した。対象となったN2例は31例であった。年齢は40歳から74歳 (中央値64歳) であった。T分類はT1: 4例, T2: 11例, T3: 11例, T4:5例であった。N2例の5年, 10年生存率はそれぞれ38.7%, 34.4%だった。頸部リンパ節に対しては放射線治療のみで一次治療を終了した例が15例あり, 頸部郭清が施行された例が16例あった。リンパ節制御は放射線治療では26.7% (4/15), 頸部リンパ節郭清によるものが68.8% (11/16) であった。一次治療後の局所制御率 (原発部および頸部リンパ節) は29.0%であり, 救済治療により局所制御がされたものを含むと45.0%であった。
選択されたT1, 2例では比較的高い喉頭温存率が得られて, 標準治療である手術に匹敵する治療方法であることが示唆される。T3例に関してもT2例とほぼ同様の制御率を示し選択によっては放射線治療先行の治療の可能性があることが示唆される。

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