2002 年 28 巻 3 号 p. 547-551
1983年から1998年間での15年間に札幌医科大学放射線科において93例の下咽頭癌に対して放射線治療を行った。亜部位別生存率では梨状陥凹の治療成績が最も不良であった。また, 頸部リンパ節転移陽性群およびIV期の生存率は統計学的に不良であった。従って, 今回のテーマであるN2梨状陥凹は治癒の可能性があるが, 最も予後が不良な病期と考えられる。国立札幌病院の症例を加えN2梨状陥凹癌49例で検討した。11例 (22.4%) に重複癌を認めた。病巣進展Tにおける生存率は進行度が進むにつれ治療成績は不良であった。Tが早ければ, 原発巣は照射で根治が可能なこと, 頸部リンパ節転移は郭清術が必要であった。40Gy時点における腫瘍縮小効果と生存率を検討しところ, 良好群は不良群より生存率も良好であったが, 統計的有意差は認めなかった。