頭頸部腫瘍
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頭頸部外科における microvascular surgery
宮本 享佐藤 徹山田 圭介菊田 健一郎橋本 信夫
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2002 年 28 巻 3 号 p. 557-562

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抄録

頭頸部腫瘍の治療において脳神経外科が必要とされるのは, 主に頸動脈の遮断可否についての判断や微小血管吻合である。
ます, ウイリス動脈輪を介した頭蓋内側副血行路の発達の程度をMRAで予め判定しておく。遮断の可否を正確に評価するには Balloon test occlusion (BTO) を行う。balloon catheter を用いて内頸動脈を一時遮断し臨床症状・脳波・体性感覚誘発電位・stump pressure をモニターし, 脳血流測定を行う。臨床的にBTOが tolerable で脳血流低下がない場合には血行再建は不要であり, BTOが tolerable だが脳血流が低下する場合には頭皮動脈を用いた low flow bypass が, BTOが intolerable な場合には radial artery を用いた頸動脈一中大脳動脈間の high flow bypass graft が行われる。
遊離空腸移植による食道再建では遊離空腸片を採取し動脈端から heparinized saline を注入し遊離空腸片を洗浄する。遊離空腸片を食道摘出断端に部分的に吻合し, まず静脈を内頸静脈に端側吻合し次いで動脈吻合を行う。
微小血管吻合は動物実験による十分なトレーニング, 見込み操作・ブラインドな操作を避けた確実な操作, 出血で妨げられないドライな術野が必須であり, 周到さと忍耐力が要るのは外科のどの分野とも同じである。

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© 日本頭頸部癌学会
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