頭頸部腫瘍
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胸部食道癌に対する縦隔鏡下食道切除術
丹黒 章吉野 茂文安部 俊弘林 秀知上野 隆佐藤 智充岡 正朗
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2002 年 28 巻 3 号 p. 563-567

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抄録

リンパ節郭清を伴う開胸開腹食道切除術により, 食道癌の治療成績は向上してきたが治療による合併症も多く, 手術死亡も少なくない。非開胸食道抜去術は低侵襲ではあるが, 盲目的操作による出血や臓器損傷が多く, 本手技を縦隔鏡下に行うことにより, 食道剥離操作を直視下に観察できるため臓器, 血管, 神経の損傷もなく, 低侵襲で安全な画期的術式となった。また, 従来は不可能であったリンパ節のサンプリングも直視下に行えるため正確なステージングが可能となる。転移が見つかった場合でも郭清術を伴う開胸手術への移行は容易であり, 転移が限局するものでは郭清による根治手術も可能である。本手技を用いて根治術を安全に行うためには縦隔内の解剖を熟知し, 機器や手技にさらなる改良を加える必要がある。しかし, 従来の開胸手術に比べ非常に低侵襲下に根治性をも実現できる可能性をもっている。

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© 日本頭頸部癌学会
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