頭頸部腫瘍
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高位副咽頭間隙・翼口蓋窩腫瘍に対する経中頭蓋窩法
今西 順久行木 英生
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2002 年 28 巻 3 号 p. 602-611

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抄録

いわゆる高位副咽頭間隙に存在する腫瘍で特に頭蓋底に進展している場合には, 下方ないし側方からのアプローチでは腫瘍の頭側すなわち頭蓋底面の術野の展開に制約がある。我々の行っている側頭開頭による経中頭蓋窩法と側頭下窩アプローチ変法との複合法である combined middle cranial fossa and infratemporal fossa approach について, その手術手技を解説した。長所はまず内外頭蓋底を明視下におくことで腫瘍周囲の血管神経に対する手術操作を上方から安全に遂行できることにある。基本術式では頸部に皮切を加えず, 下顎骨, 顔面神経も温存されるが, 必要に応じて頸部への皮切延長, 下顎骨離断を追加して術野を拡張することも可能である。硬膜欠損の再建, 腫瘍摘出後の死腔充填に頭蓋骨膜-側頭筋弁が利用できる。主に高位副咽頭間隙, 翼口蓋窩, 側頭下窩に発生もしくは進展した良性腫瘍が本法のよい適応であるが, 頭蓋底進展例のみならず上咽頭, 鼻腔, 蝶形洞, 上顎洞への進展例にも応用可能である。

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© 日本頭頸部癌学会
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