頭頸部腫瘍
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粘膜上皮再建を行わない下顎再建法
大岩 伊知郎下郷 和雄梅村 昌宏藤原 成祥大重 日出男臼井 秀治
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2003 年 29 巻 1 号 p. 104-110

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抄録

下顎骨区域切除に伴う再建手術の目標は咬合の再構築による咀嚼機能を含めた早期の機能回復にある。下顎欠損に伴う粘膜歯肉欠損に対して咀嚼粘膜類似の被覆軟組織を獲得すべく, 粘膜上皮再建を行わない下顎再建を試みた。6例の下顎区域切除後の即時再建に適応し5例で通常の義歯が装用され, 機能回復が得られている。移植骨は, 深腸骨回旋動静脈を血管柄とする腸骨を用い残存粘膜を移植骨切断端に縫着する。舌側の軟組織欠損量に応じて, 腹斜筋の筋体を調整し補填に充てる。移植骨と粘膜断端の縫合糸を利用し, 場合によってはアテロコラーゲン膜を露出骨面に置いてタイオーバーを行う。術後7~10日でタイオーバーを除去し, 露出骨面の肉芽増生を待って早ければ数日後に義歯を装用させる。二次修正術や, 特殊な手枝を用いることなく通常の義歯により咬合の再構築が可能で, 皮弁採取を伴わないことから採取部の障害も少なく有用な方法と考えられる。

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© 日本頭頸部癌学会
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