頭頸部腫瘍
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口腔咽頭と食道の同時性重複癌に対する再建手術の工夫
小林 慎小野塚 直也久我 俊彦笹田 大敬小林 恒松原 篤
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2003 年 29 巻 1 号 p. 118-123

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抄録

本論文では口腔咽頭と食道の同時性重複癌の7症例に対し著者らが施行した5種類の再建術式を紹介する。口腔底切除がなされた2例には遊離空腸パッチを用いた口腔底再建術を選択し, 食道は大弯側胃管を用いて再建した。咽頭喉頭切除と食道全摘がなされた4症例中3例は小弯側反転胃管により全食道と高位の咽頭までを同時に再建した。残りの一例は遊離空腸と胃管を組み合わせて一期的に再建した。喉摘後の音声再建を希望する患者には遊離回盲部と挙上胃管を吻合する方法を選択した。以上の経験より, 食道癌との同時手術における頭頸部再建には次の方法が有用と考える。口腔底の再建には術後の舌の運動制限がなく, 口腔乾燥を来さない遊離空腸パッチ移植が適している。また, 小弯側反転胃管を使用することで高位の咽頭までを一本の胃管で再建することが可能で手術時間も短縮できる。さらに遊離回盲部と挙上胃管を同時に併用すれば音声再建も可能となる。

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© 日本頭頸部癌学会
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