2003 年 29 巻 1 号 p. 27-33
1980年1月から2002年3月までの間に当科で治療をおこなった上咽頭癌一次例についてその治療成績と傾向について検討した。46例が治療をおこない, stage Iが2例, stage IIがAB合わせて7例, stage IIIが12例, stage IVAからIVCまで25例と進行癌が多かった。全体の生存率は53.4%であった。傾向として, N分類でN3の症例が遠隔転移を生じやすく, N3に対する有効な補助化学療法の重要性が示唆された。局所再発例に対しても放射線治療を追加することによって治癒をみた例もあり, 再照射が有効と考えられた。しかし神経障害などの合併症に十分注意が必要と考えられた。