頭頸部腫瘍
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下咽頭癌N2症例における予後因子と頸部再発の検討
鈴木 政博鹿野 真人渡邉 睦深谷 浩大大森 孝一
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2003 年 29 巻 4 号 p. 551-557

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抄録

当科における下咽頭癌N2症例の5年粗生存率は32%と予後不良であり治療成績の改善のキーポイントとなる症例群である。N2の臨床病期分類は予後を正確に反映できていない結果であったが, 一方, 転移リンパ節 (pN) の個数は生存率に影響し, 予後と関連する因子であった。 pNの個数の増加とともに節外浸潤, 下内深頸リンパ節転移をきたす症例の割合が高くなる傾向が認められ, 個数の増加とこれらの関連が示唆された。pNの個数が2個では遠隔転移が多く, 5個以上では頸部再発が多い傾向であった。 pNの個数が5個以上の症例群では, 従来の治療では根治には限界がある。一方, 2, 3個でも節外浸潤, 下内深頸リンパ節転移がない症例では予後良好群として, 根治治療の適応であるが, さらなる予後の改善には遠隔転移の防止が課題であると考えられた。

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© 日本頭頸部癌学会
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