2003 年 29 巻 4 号 p. 575-580
高齢者の増加に伴い, II期舌癌の治療選択における放射線治療の重要性は増すものと思われる。そこで, 高齢者のII期舌癌に対する放射線治療例の治療成績を検討した。対象は広島大学放射線科で放射線治療を行ったII期舌癌198例である。年齢階層別には65才未満 (非高齢者群) が119例, 65才以上75才未満 (前期高齢者群) が53例, 75才以上 (後期高齢者群) が26例であった。放射線治療は, 組織内照射単独が101例, 組織内照射と外照射併用が97例であった。5年局所制御率は非高齢者群で85%, 前期高齢者群で85%, 後期高齢者群で81%であり, 各群間に有意差は認めなかった。5年原病生存率はそれぞれ85%, 81%, 70%であり, 後期高齢者群は他に比べやや不良であった (p=0.03)。後期高齢者では, 原病生存率が若干劣るものの, 局所制御率の面では遜色なく, 組織内照射を含む放射線治療は有用な選択肢と言える。