頭頸部腫瘍
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甲状腺手術における反回神経即時再建術
家根 旦有福田 多介彦岡本 英之細井 裕司宮原 裕
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2003 年 29 巻 4 号 p. 594-598

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抄録

甲状腺手術において反回神経即時再建術を行った14例について検討した。再建方法は端々吻合6例, 神経移植8例で, 神経移植は頸神経ワナを用いた。端々吻合の6例は全例で音声は回復し, 最大発声持続時間 (MPT) の平均は18.7秒であった。神経移植を行った8例のうち6例は回復したが, 術前に麻痺を認めた4例のうちすでに声帯が萎縮していた2例は回復しなかった。神経移植で回復した6例の平均MPTは13.7秒で端々吻合に比べて短かったが, 再建を行わなかった症例の平均MPT6.9秒に比べると良好であった。音声の回復期間は端々吻合が4.5ケ月で, 神経移植の7.3ケ月に比べて早かった。神経吻合はルーペまたは肉眼で行ったが, ルーペの平均MPTは13.3秒, 肉眼は15.4秒で肉眼の吻合でも良好な結果が得られた。即時再建を行い音声の回復を認めた12例で声帯運動が回復した症例はなかった。

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© 日本頭頸部癌学会
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