ヘパラナーゼは多くの癌細胞において産生され, その活性はその癌の転移能と相関するとされている。今回, 1997~2000年に加療した口腔扁平上皮癌25症例を対象として, 生検および手術標本から Quantitative RT-PCR法により, ヘパラナーゼのmRNA発現を測定し, 頸部リンパ節転移との関連を検討した。初回頸部郭清術を施行した11例中5例に組織学的頸部リンパ節転移を認め, このうち3例にヘパラナーゼmRNAの高発現を, 1例に中等度発現を認めた。また, 後発転移例6例では, 1例に高発現3例に中等度発現, 2例に低発現を認めた。ヘパラナーゼmRNA発現の有無と頸部リンパ節転移発現との間には有意差を認め, ヘパラナーゼが頸部リンパ節転移に関与する重要な因子であることが示唆された。