頭頸部腫瘍
Online ISSN : 1883-9878
Print ISSN : 0911-4335
ISSN-L : 0911-4335
マイクロアレイ解析による食道癌リンパ節転移関連因子の検索
川又 均表原 文江藤盛 孝博
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 30 巻 1 号 p. 53-60

詳細
抄録

ヌードマウスにて転移能を有さないヒト食道扁平上皮癌細胞T. Tnを, in vitro でクローニングを行い, 遊走能, 細胞-細胞間接着能, 細胞-基質間接着能の高い亜株を分離した。次に, ヌードマウス同所性移植モデルを用いて, それら亜株の中からリンパ節への転移能を有する細胞T. Tn-AT1を分離した。さらに, 親株T. Tnと転移株T. Tn-AT1を用い, マイクロアレイ解析にてリンパ節転移関連因子の同定を試みた。マイクロアレイ解析は30merのヒトオリゴヌクレオチドを9,206個スポットしている CodeLinkTM Bioarray を用いて行った。両細胞間で発現が2倍以上異なるものは114個で, T. Tn-AT1細胞において発現が低下している遺伝子 (86個, 75.4%) が多く見られた。発現が異なる遺伝子のうち機能がわかっているものの多くは, 炎症細胞や癌細胞の接着, 遊走, 増殖, 分化などに関与するものであった。

著者関連情報
© 日本頭頸部癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top