我々は舌全摘・亜全摘や軟口蓋全摘例に対し, 遊離皮弁による再建と共に両側側頭筋を移行し機能再建している。今回広範切除再建例に発語明瞭度の分析と構音嚥下時 video 透視をした。
側頭筋は顔面神経麻痺動的再建に用いる Rubin の術式と同様に挙上した。
Video 透視にて側頭筋移行は static なつり上げのみならず, 予想以上に dynamic な動きが観察された。日常生活では全症例誤嚥なく食餌摂取が可能である。
構音機能は良好で, 軟口蓋再建例ではほぼ正常の機能が獲得された。文章了解度は軟口蓋再建例で96.7%, 舌全摘例で55.6~100%を示した。舌全摘でも電話を使用している。
これは側頭筋自体の動きに加え, 残存した咽頭周囲筋の動きを側頭筋が再建皮弁に伝達しているためと推測された。再建舌は口蓋化構音となり代償的に満足のいく発音をしている。