背景・目的 温泉研究として基礎医学的エビデンスが多数明らかになっている一方で、一般的な温泉利用者の身体的エビデンスに関する調査は少ない。本研究では大規模調査を前提としたインターネットを用いたweb調査形式で、温泉入浴の利用実態及びテキストデータを既存アプリケーションプログラムによって半自動化した解析による身体的エビデンスがどの程度明らかにできるかを検討することを目的とした。
方法 Web調査形式で2018年2月末から3月初旬に実施。対象者は大分県内の職員であり、3,917名からの回答を得た。
結果 大分県内の職員の温泉入浴の特徴として、温泉利用者の半数以上が月数回以上温泉を利用していた。入浴温度は「40-42度」を好む人が多く、湯船に浸かる時間は「30分以下」と「31分以上」が共に半数程度であった。体質や持病では、「体の凝り・痛み」が最も多く、次に「冷え性(症)」であり、男性より女性に多くみられた。温泉入浴後の心身の変化や効果では、「体の変化(軽くなる、温まる)」が最も多く、次に「ポジティブな気分の変化」、 「良く眠れる」、 「疲労回復」の順であった。
考察 大分県内の職員の自宅入浴は過去の関東の自宅入浴データとほぼ同じであり、温泉入浴独自の特徴としては、湯船に浸かる時間が自宅入浴に比べ長く浸かる人が多い傾向が示唆された。また、テキスト分析結果から、温泉効果を把握することができたと考えられ、身近に温泉のある人を対象としたWeb調査によって、利用者視点の温泉効果を知ることが可能であると考えられた。