日本健康開発雑誌
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助成研究
足浴が自律神経活動に及ぼす効果を反映する自律神経機能検査の確立
石川 正昭
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2019 年 40 巻 p. 56-66

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抄録

背景・目的 心拍変動解析を用いた研究から足浴が自律神経活動に影響を及ぼすことが報告されている。近年、何らかの負荷から生じる自律神経活動変化を検証する際には複数の臓器を対象に評価を行う必要性が基礎・臨床研究から報告されている。足浴が自律神経活動にもたらす効果を複数の臓器を用いて検証した報告は皆無である。本研究では、健常成人男性を対象として、足浴がもたらす自律神経活動への効果を過去に報告のある心拍変動のみならず、初の試みとして瞳孔対光反射を用いて検証し、その効果を反映するパラメータや条件の探索を行う。

方法 40名の健常成人男性 ( 平均年齢±標準偏差 : 28.1±3.9歳 ) を対象に、心拍変動と瞳孔対光反射の測定を足浴前に行った。15分間の足浴を行い、足浴を継続した状態で二つの自律神経機能検査を再度行った。瞳孔対光反射測定には4つの異なる光刺激強度を両眼に施行した。足浴から生じる自律神経活動の変化を検証した。

結果 心拍変動では、パラメータの有意な変化を認めなかった。瞳孔対光反射では、光刺激前の最大瞳孔径・光刺激後の最小瞳孔径・最大縮瞳速度・平均縮瞳速度・平均散瞳速度・潜時が足浴により有意に変動した。また最小瞳孔径・縮瞳率・平均散瞳速度では光刺激強度と時点における有意な交互作用を認めた。

考察 足浴による心拍変動の変化は認めなかった一方で、瞳孔では副交感神経活動亢進を認めた。つまり、足浴から生じる生体の自律神経活動変化は一様ではないことが示唆された。瞳孔対光反射の最大瞳孔径・最小瞳孔径・最大縮瞳速度・縮瞳率・平均縮瞳速度・平均散瞳速度・潜時・異なる光刺激強度設定が足浴効果を反映するパラメータや条件となり得る。

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