日本健康開発雑誌
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原著論文
銭湯利用頻度と主観的幸福感の関連:インターネット・リサーチによる横断研究
早坂 信哉樋口 善英野々村 雅之栗原 茂夫
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2020 年 41 巻 p. 17-22

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抄録

背景・目的 一般公衆浴場の銭湯は、生活空間として身近にある公衆を入浴させる施設である。従って、地域の住民にとって銭湯は、保健、医療、福祉の面としての健康増進の場、地域社会におけるコミュニケーションの場・ソーシャルキャピタルを高める場として期待され、大変重要な社会的資源であると考えられる。本研究では銭湯利用頻度と健康指標の1つである主観的幸福感について、男女別・地域別・世代別の各指標から調査分析し、その関連を明らかにすることを目的とした。

方法 インターネットを利用した横断研究を2018年9月に実施した。調査対象者558名(男性281名(50.4%)、女性277名(49.6%))であった。週1回以上の銭湯利用頻度の高い者と週1回未満の銭湯利用頻度の低い者の2群に区分し、各群の主観的幸福感を比較検討した。

結果 銭湯利用頻度の高い者は主観的幸福感が高く、男性が女性より高かった。一方、地域別は、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県)より関西圏(大阪・京都・兵庫の2府1県)が高かった。さらに、年代別は、20~30歳代が高かった。以上より、銭湯利用頻度の高い者の主観的幸福感が高く、男性、関西圏、20∼30歳代の銭湯利用者で主観的幸福感が高いこととの関連が示唆された。

考察 銭湯利用頻度の高い者の主観的幸福感は高く、男性、関西圏、20∼30歳代で特に高い傾向にあることがわかった。銭湯を習慣的に利用することで主観的幸福感が高まる可能性があると考えられ、銭湯の積極的な利用を進めることで地域住民の生活の質の向上につながる可能性がある。

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