日本健康開発雑誌
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原著論文
循環器代謝系検査値と生活習慣の関連:浜松ウエルネスプロジェクト 健康ビッグデータ解析
中村 美詠子 兼子 実優杉山 結衣赤松 友梨武藤 繁貴尾島 俊之
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2022 年 43 巻 p. 51-57

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抄録

背景・目的 地域における生活習慣病予防対策は、地域特性を把握して推進することがのぞまれる。本研究は浜松市の健康診断、人間ドック(以下、健診)受診者のデータを用いて、地域における生活習慣病予防対策の課題と方向性を明らかにする。

方法 2020年度に聖隷福祉事業団が実施した健診のうち、20歳以上の男女を対象とした。検査項目の性年齢階級別平均値を2019年国民健康・栄養調査成績と比較し、検査項目と問診項目との関連をカイ2乗検定で検討した。

結果 分析対象(浜松市)は男性194,431人、女性159,228人であった。body mass indexは男女ともに全国と同等または低かったが、20~30歳代での増加が大きく、男性の40~50歳代では24.0kg/m2をこえていた。収縮期血圧は全国より低かったが、空腹時血糖は男性の20~50歳代、LDL-コレステロール(LDL-C)は男性50歳代以上、女性の60歳代以上で全国より高かった。また、LDL-Cは男性では20~30歳代、女性では40歳代での増加が大きかった。肥満、糖尿病域、高LDL-Cは、20歳の時から10kg以上の体重増加があること、食べる速度が速いことと関連していた。

考察 浜松市の健康課題として、高血糖、高LDL-Cが抽出された。これらの対策として、男性では20~30歳代からの体重管理に注目する必要があるだろう。

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© 2022 日本健康開発財団
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