日本健康開発雑誌
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全身入浴またはシャワー浴の入浴習慣がその後のHSP入浴法に及ぼす影響
伊藤 要子石澤 太市多田井 幸揮綱川 光男
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論文ID: 202142G03

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抄録

背景・目的 我々は、より健康的な入浴法を目指し、Heat shock protein 70 (HSP70)を日常の入浴で高めるHSP入浴法を確立してきた。しかし、生活意識の変化から入浴をシャワーで済ませる機会が増えている。本研究では、日常の入浴として全身入浴またはシャワー浴を行っている人に入浴による温熱刺激を与え、HSP70、体力指数および気分プロフィール検査などの主観評価への影響について比較し、HSP入浴法を検討した。

方法 健常男性11名を日常の入浴法として40℃ 10分の全身入浴群とシャワー浴群に分け、5日間の日常入浴後に試験入浴として40℃ 15分の全身入浴と保温を実施し、体温(舌下温度)を測定した。また、試験入浴前、1日後、2日後にHSP70発現量、体力指数および気分プロフィール検査、気分・感覚状態のアンケートを実施した。

結果 全身入浴群において、試験入浴中の体温はシャワー浴群に比し有意に上昇し、HSP70は試験入浴前に比し有意に上昇した。また、疲労感や筋肉痛はシャワー浴群に比し有意に軽減し、気分プロフィール検査POMSの混乱は日常入浴前に比し有意に低下した。

考察 全身入浴を継続することで、温熱刺激に対する感受性が高まり、HSP70の有意な上昇、疲労感の軽減、気分状態を良好にし、心身の健康に良い影響を及ぼすことが示唆された。また、日常の全身入浴の継続後の試験入浴40℃ 15分入浴は、従来のHSP入浴法である40℃ 20分の入浴時間を5分短縮する、新しいHSP入浴法となり得るものと思われた。

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