東京保健科学学会誌
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ALS療養者の在宅療養離脱要因に関する検討 : 発病から呼吸障害が重篤化に至る時期
木全 真理山田 智子水野 優季小倉 朗子山村 礎川村 佐和子
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2004 年 7 巻 2 号 p. 55-63

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抄録

本研究の目的は,発病から呼吸障害重篤化に至る期間における在宅療養の期間を妨げる要因を分析し,それに対する支援のあり方を検討することである。ここで用いる在宅療養離脱は,療養者側の理由で療養の場である自宅を離れ,療養の場を自宅外に移すこととする。研究対象は,文献から29事例と面接調査から4名,33事例の療養者の資料を分析対象と定めた。調査項目は,発病時の療養者の状態,在宅療養離脱時の療養者の状態・主介護者の状態など,在宅療養離脱の理由,離脱後の療養場所,である。得られた知見は,1)収集した33名の在宅療養経過では,在宅にて死亡した者が1名,残る32名は全員が在宅療養を離脱し,うち31名が病院に,1名が身体障害者福祉施設に療養の場を移していた。2)在宅で死亡した1名を除く32名の在宅療養離脱の理由は,身体機能障害の悪化,家族介護力の不足,地域支援体制の強化の3つに分類でき,これらの3要因は単一または重複で生じていた。

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2004 日本保健科学学会
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