魚類において鯛が過剰塩化物調節を行うことは一般に認められており,その実際の作用の行う細胞は大形の好酸性細胞,つまり“塩化物調節細胞”である.Munshi(1967)は異科異属の5種の淡水魚において粘游腺細胞が塩化物調節を行う事を見出した.今回,インド産ドジョウL.gunteaの鯛を研究し,筆者は2種の特化した細胞を見出した,つまり,(a)粘游腺細胞―これらの細胞は粘游を分泌するのみならず,塩化物に対しても正に反応,したがって,その調節にも活発な働きをしていることが示される,(b)大形の好酸性細胞―これらの細胞は“塩化物調節細胞”のもつ特性を殆んど完全に示したが,塩化物に対して反応を示さない.したがって,淡水性のこのドジョウでは粘游腺細胞が塩化物の調節を行う場所であり,好酸性細胞(塩化物調節細胞)は恐らく他の働き,鯛における炭水化物・脂質代謝に大きな役割を演じているものと解された.