マダイ属に属する4種・日本産のCkrysophrys major, 西部オーストラリヤ産のC.untcolor, 東部オーストラリヤ産のC.guttulatus及びニュージーランド産のC.auratusについては従来多くの研究者によりその近似性が論じられてきた.本報告はC.major, C.unicolor及びC.auratusの3種について外部及び内部形態を比較検討したが, 外部形態では多くの形質は差が小さく, 体長に対する頭長を除いては, 種の決定の助けとなる明瞭な差は見られなかった.しかし, 頭骨の比較において, オーストラリヤ及びニュージーランド産のC.micolorとC.auratusでは上後頭骨の背縁が肥厚するのに対し, 日本産のC.majorでは基部が著しく肥厚することが判明し, 前二者とは明瞭な区別が行なえた.また, C.unicolorとC.auratusでは, 少くとも成魚においては頭長と上後頭骨背縁の肥厚部の形態に差異のあることがわかった.