魚類学雑誌
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日本およびその近海産ニベ科魚類の骨格の研究II.脊椎骨
谷口 順彦
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1969 年 16 巻 4 号 p. 153-156

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抄録

ニベ科魚類15種の脊椎骨の形態的特徴を記述し, その分化の状態を考察した.ニベ類の脊椎骨にみられる著しい特徴は, 前部の数個の腹椎下面に標の先端が固着する1対の骨質隆起が存在することである.この隆起の形態により5類型 (ニベ型, コニベ型, シログチ型, キングチ型およびカンダリ型) に分類される.ニベ型では数個の腹椎にそれぞれ未発達な1対の隆起線があり, とくに4番目の腹椎の隆起線が多少とも発達する.キングチ型, カンダリ型およびコニベ型では, その隆起が著しく特化して, 1対の平板状突起, 楕円形の1個の平板状突起および馬蹄形突起などに変形したものがみられる.シログチ型の隆起はニベ型とキングチ型の中間型とみなされる.キングチ型とカンダリ型では, とくに3番目の腹椎の隆起が発達しており, コニベ型では4番目の腹椎のそれが発達しているので, 両者間の直接的類縁は考えられない.脊椎骨数は一般的に尾部棒状骨を含めて25であるが, キングチ型およびカンダリ型では25以上である.この事実はキングチ型とカンダリ型が脊椎骨25の基本群から派生したことを示している.
脊椎骨にみられる類型は頭蓋骨および耳石にみられる類型とよく一致しており, 脊椎骨が重要な分類形質であることを意味する.

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