魚類学雑誌
Online ISSN : 1884-7374
Print ISSN : 0021-5090
ISSN-L : 0021-5090
スナヤツメの幼生および成体における肝細胞の電子顕微鏡観察による微細構造
北田 仁一
著者情報
ジャーナル フリー

1970 年 17 巻 4 号 p. 161-165

詳細
抄録

スナヤツメEntosphenus reissneriは変態に伴って肝臓に顕著な変化が生じ, 胆のうおよび胆管が消失する.この際における肝臓の微細構造の変化について電子顕微鏡を用いて研究した.
幼生の肝細胞では細胞間および細胞内胆管は明らかに認められ, その管腔はmicrovilliがよく発達し密になっている.粗面小胞体の発達はふつうであるが, ゴルジ装置はよく発達しており, 特に胆細管に接近して集積する傾向がみられる.そしてその小のうや空胞の内部に電子密度の高い物質が認められ, これは胆汁構成成分の一部となるものと考えられる.これとは別に胆細管あるいはそれに連なる細管の中に顕著なミェリン様体 (直径0.3~1μ) の移行状態が追跡された.ミトコンドリアもよく発達した状態を示す.
これに反し成魚の肝細胞では細胞間および細胞内胆管は全く認められない.粗面小胞体はよく発達し層状構造を呈する.ゴルジ装置は典型的な様相を示す.ミトコンドリアは普通であるが, 時に不規則な形状を呈するものがみられる.

著者関連情報
© 日本魚類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top