魚類学雑誌
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ヒラメ類の稚仔魚の研究-II.ザラガレイ
尼岡 邦夫
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1971 年 18 巻 1 号 p. 25-32_1

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抄録

日本の南西海域から中層びきの仔魚網によって採集された大型のヒラメ類後期仔魚3尾を調査した.これらの仔魚は著しく大型 (標準体長34-120mm) であること, 伸長した第2背鰭棘, 背鰭軟条および臀鰭軟条をそなえること, 体外に突出した腸をもつこと, および著しく多くの背鰭軟条 (111-120), 臀鰭軟条 (79-82), 脊椎骨 (16+38-39=54-55) をもつことなどの特徴で, ダルマガレイ科 (Bothidae) の他の種類の仔魚から明らかに区別され, ザラガレイ (Chascanpsetta lugubris) に同定される.この種類の変態完了体長は121-125mmであると推定され, 120mmの後期仔魚は今までに報告されたヒラメ類の中では最大のものである.
変態期前後の仔魚の体長に対する体各部の相対成長に2型が認められる.体高, 背鰭軟条長および臀鰭軟条長はこの期を境にして急激に減少する.一方, 頭長, 眼径, 胸鰭長および上顎長などは著しく増大する.前者は浮遊生活への適応に, 後者は食性の転換および底生生活への適応に関係していると考えられる.

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