魚類学雑誌
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Brachypleura novaezeelandiae (コケビラメ科) の骨格と類縁関係
Brachypleura novaezeelandiae(コケビラメ科)の骨格と類縁関係
尼岡 邦夫
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1972 年 19 巻 4 号 p. 263-273

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抄録

Citharus, Citharoides (コケビラメ属), Paracitharus, Brachypleura, およびLepidoblepharon (ウロコガレイ属) の5属の種類は最も原始的なボウズガレイ属のものと典型的なとラメ・カレイ類との間の移行群であるとみなされ, コケビラメ科 (Citharidae) に含められている. 日本産のコケビラメとウロコガレイをボウズガレイおよびヒラメ科, ダルマガレイ科のものと比較解剖することによってもこのことは支持されている.南支那海から得られたこの科の、Brachypleura novaezeelandiaeの類縁関係を明らかにするためにその骨格を調べ, 口本産の2種と比較検討した.その結果, ほとんどすべての形質において日本産の種類と良く一致しているが, いくつかの形質では著しく違っている.それら違っている形質の中に日本産の2種と比較して原始性と特化性を示す2つの方向が認められる. 前者は主として臀鰭と腹鰭に関係した骨格に認められ, これらの鰭は背鰭と共に前進化と関係して相称化へと進んでいる. 後者は尾鰭とそれを支える骨格に関係し, それら自身の相称化に進んでいる. これらはヒラメ類全体の進化の方向からみた場合, いずれの形質もこの類の特殊な遊泳方法と関係した左右 (背腹) 相称化の過程として考えられる. これらの原始性と特化性の形質も含めてすべての形質から判断した場合, この種はやはりコケビラメ科に属すると考えられる. この種を含めたコケビラメ科の新しい定義を試みた.

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