魚類学雑誌
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南支那海南部より得た新種オナガメイチダイ
千田 哲資
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1973 年 20 巻 3 号 p. 135-144

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抄録

メイチダイ属魚類は南支那海南部では重要なトロール対象魚種のひとつであり, 専らメイチダイGymnocranius griseus (Temminck and Schlegel) より成る. 筆者は1971年10月にボルネオ島サラワク沖海域で別の型のメイチダイ属の魚約45個体を得た.その後, 同じ魚をマレイ半島東岸沖でも再三見出し, またオーストラリヤ北西岸沖からの標本も入手した.メイチダイとの比較, 文献の検討を通じ, この魚を新種とし, オナガメイチダイG.elongatusと命名した.Bleeker (1877) のG.griseusは本種である.本種の最大の特徴は尾鰭中央の鰭条が眼径よりも短かいことで, それだけで既知のすべての同属魚種と区別できる.体高が比較的低い, 眼前骨幅が狭い, 頭蓋骨幅が広い, 大孔が正三角形に近いことなども特徴をなす.なお南支那海南部のメイチダイは生時頬に数条の青色波状線を有し, この点でサザナミダイG.robinsoni (=G.ruppelli) と同定すべきかもしれない.しかし, 固定後は通常その特徴が消える.さらに上述の両学名をG.griseusの異名とする研究者もあることなどから, 本報告でも暫定的に後者を採用した.

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