魚類学雑誌
Online ISSN : 1884-7374
Print ISSN : 0021-5090
ISSN-L : 0021-5090
わが国より初記録のバケムツ
望月 賢二
著者情報
ジャーナル フリー

1973 年 20 巻 4 号 p. 207-210

詳細
抄録

1972年12月, 青ケ島近海の300~350mのところから, メダイの縦延縄漁にムツとともに混獲されたバケムツについて報告する.この魚は, ムツ・クロムツに形態・体色ともよく似るが, 上顎側部に犬歯がない, 臀鰭軟条数が7, 垂直鰭が鱗を被らないなどの点で異なる.この魚は, 南アフリカから記載されたNeoscombrops anectensに酷似している.したがって, ひとまずN.annectensと同定したが, 若干の形質に相異が認められるので, この標本と南アフリカの標本を比較検討し, その異同を決定する必要がある.日本からNeoscombropps属として報告されたバケスミクイN.ana lisとは明らかに異なっている.このバケムツは, 魚食性で, 採集時に卵巣がよく発達していたことから産卵期は冬と推定される.

著者関連情報
© 日本魚類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top