タモロコとカマツカの間で得た交雑種は, 正逆組合せ共に対照よりも生残率が高く, 特にタモロコ♀× カマツカ3の場合は, 3年魚における平均体重が対照よりも大きかった.雑種のほとんどは雄であり, それらは成熟期に達しても精子を放出しなかった.雑種の生殖腺は発達が悪く, 体重に対する生殖腺の重量比が対照におけるよりもはるかに小さく, 逆に体重に対して, 内臓を除去した部分の重量比は対照よりも大きかった.すなわち, 不妊雑種では, 可食部の増重がみられた.もしもこのことが, マス類やコイなどにおいてもみられるならば, 食用魚生産の上において, 不妊雑種が有利であるように思われる.