魚類学雑誌
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摂餌または飢餓状態のブリ仔魚における消化器官の組織学的構造と機能について
楳田 晋落合 明
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1975 年 21 巻 4 号 p. 213-219

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抄録

ブリ仔魚消化器管の飢餓にともなう組織構造の変化を給餌仔魚のそれと比較して調べ, ふ化後10日前後に起るブリ仔魚の大量斃死との結びつきを推定した. ふ化直後から絶食状態におかれた仔魚はふ化後4日目では餌料の消化吸収機能をもつ消化器管を有するが, 6日目から急激かつ顕著に消化器管の各組織に病変が現われ, 消化吸収機能が消失する.一方, 給餌区の仔魚は6日目以降, 絶食仔魚と全く同様の症状を呈する個体 (絶食型) と, 消化吸収可能な消化器管を有する個体 (半絶食型), および摂餌している個体 (摂餌型) の3型に分れる.これら3型の出現比率をみると, 6日目で絶食型が最も多く65%, 摂餌型35%半絶食型0%であった.以上の結果からブリ仔魚はふ化後4~6日にかけての摂餌の良否が急激に消化器管組織に変化を起すことが明らかであり, この時期の摂餌条件の悪さがふ化後10日前後の大量斃死の主因と推定される.

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