魚類学雑誌
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日本で初記録のダウリアチョウザメ
尼岡 邦夫仲谷 一宏
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1975 年 22 巻 3 号 p. 164-166

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抄録

1974年10月から1975年5月の間に, 北海道を取りまくオホーツク海 (猿払), 太平洋 (南茅部) および目本海 (忍路) の3海域の沿岸から4個体のダウリアチョウザメが捕獲された.
本種は頭部の側面まで裂けた大きい口をもつこと, 左右の鯉膜はゆ合し, 峡部から遊離していること, ひげは扁平であること, 背鰭条数が少ないことなどの特徴でチョウザメ科の他種とは明瞭に区別される.目本では従来チョウザメ属 (Acipenser) の種類のみが知られていたが, ダウリアチョウザメ属 (Huso) の魚類の記録はない.
本種は本来アムール河の淡・汽水域に生息しているが, 樺太海域やオホーツク海の奥部からも報告がある.さらに今回の捕獲によりその主要分布域のはるかに南方の北海道にも本種が分布することが初めて確認された.

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