魚類学雑誌
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ヒラメ類の稚仔魚の研究一VI.イイジマダルマガレイ, トサダルマ, ソコダルマ
尼岡 邦夫
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1976 年 22 巻 4 号 p. 201-206

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抄録

1966年8月と1967年10月に目本の南西海域の4地点, 水深0~80m層から採集された5個体 (体長9.1~19.1mm) のダルマガレイ科 (Bothidae) の後期仔魚を調査した.これらの仔魚は, 背鰭条数81~100, 臀鰭条数67~79, 脊椎骨数10+28=38であり, 体はだ円形で, 背鰭第2条が伸長し, 尾舌骨と腰骨の腹縁に鋸歯を欠くなどの共通した特徴をもつ.これらの体節的形質に基づいて査定を試みた結果, 明らかにイイジマダルマガレイ属 (Psettina) の種類であった.南日本近海には本属に3種 (イイジマダルマガレイ, トサダルマ, ソコダルマ) が知られている.これら3種の成魚は上顎長, 側線鱗数, 色彩などから明確に区別されるが, これらの形質が未発達な仔魚には適用出来ない.しかし, 成魚の背臀鰭条数の範囲から判定して, これら5個体の仔魚のうち, 2個体はイイジマダルマガレイ, 2個体はトサダルマ, そして1個体はソコダルマに同定された.

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