魚類学雑誌
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クマドリの性的二形
松浦 啓一
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1976 年 23 巻 3 号 p. 171-174

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抄録

琉球諸島の石垣島から採集した71個体のクマドリの成魚とラバウルから得た1徊体の幼魚の外部形態および生殖巣を調査した.これらの個体は, (1) 体側および吻部にオレンジ色の波状の色帯を持ち, 吻部の背部外郭線が, やや凹状のもの, (2) 体側のみに色帯を持ち吻部は茶褐色で背部外郭線が, 直線的かやや凸状のものに分けられた. (1) には, すべての雌, 小形の雄および幼魚が含まれ, (2) には大形の雄が含まれた.また (1) の小形の雄の体長に対する眼径の割合は, 大形の雄と雌のそれの中間の値を示した.これらのことからクマドリの斑紋と体形は, 性と成長に関連して変化する事が明らかになった.即ち, 雄では成長にともなって吻部の色帯が消失して茶褐色を呈し背部外郭線は, 直線的かやや凸状となり, 雌では幼魚の吻部の特徴は, 成魚まで保持される.

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© 日本魚類学会
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