魚類学雑誌
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北西太平洋から得られたガンギエイ5新種とその類縁関係
石山 礼蔵石原 元
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1977 年 24 巻 2 号 p. 71-90

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抄録

水産庁ならびに東京水産大学の採集により得られた北西太平洋のソコガンギエイ類(Bathyraja)の標本から, 1)体各部の相対長, 2)計数的諸形質, 3)斑紋の有無, 4)体背面に分布する大小の疎の有無, 5)軟骨性頭蓋の構造, 6)交接器の構造, 7)卵殻の構造などの組合せで, この海域に分布する既知11種のソコガンギエイとは異なる5種が区別された.
上記5種はそれぞれ新種として, 噴水孔前縁が深くくぼむツムラカスベBathyrja caeluronagracans.やや小さい交接器を持つノトロカスベB.notoroenais, 体背面に白色斑のあるモンツキカスベB.trcaculata, 体背面の肥大棘が連続して並ぶコマンドルカスベB.lindbergi, 体背面の小棘がまばらなスベスベカスベB.minispinosaと命名した.
石山が1952年に発表したマツバラエイB.matsubaraaは前4種と諸形質が類似し, 殊にこの種の副模式標本は本研究でノトロカスベと同定されたため, 新種5種の記載と共にマツバラエイを再記載し, 6種の類縁関係を動物地理学的に考察した.

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