魚類学雑誌
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三宅島におけるレンテンヤッコの社会構造
産卵行動と雌性先熟性転換
Jack T. Moyer中園 明信
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1978 年 25 巻 1 号 p. 25-39

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抄録

東京都下三宅島において, レンテンヤッコの社会構造, 産卵行動を潜水観察するとともに, 性転換について調べた。本種の雄は, 普通雌数尾よりなるハレムを持っているが, 雌の尾数は生息基盤の性質によって異なり, 1~5尾の範囲にあった。本種の産卵は, 5月~10月にかけてほぼ毎日日没前後に行なわれたが, 雄の雌に対する優位性の維持と求婚に関して (1) rushing, (2) circling, (3) soaring, (4) mutualsoaring, (5) nuzzling, (6) spawningの6型の行動型を認めた。
本種のハレムより雄を取り除くと, 次の順位にある雌が性転換して雄へと変った、さらに, 組織学的に本種の雌性先熟性転換を確認するとともに, 雌, 雄および移行型の個体の生殖腺構造を記載した.

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