魚類学雑誌
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タイワンドジョウおよびカムルチーの頭部血管系の観察
石松 惇板沢 靖男竹田 達右
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1979 年 26 巻 2 号 p. 167-180

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抄録

日本産Channa属の2種, タイワンドジョウC.maculataとカムルチーC.argusの頭部血管系を樹脂注入法によって観察した.血管分布から両種の頭部における血液流路を推測すると, 心室から拍出された血液の一部は夢動脈球より出る2本の腹大動脈のうちの前腹大動脈に入って第1・第2総弓へ送られ, 鯉で二酸化炭素を水中に排出し, その後出鯉動脈に集められ上鰐器官に入って再び毛細血管に分れ夢空気中の酸素を摂取して, 前主静脈から静脈系を経て心臓に戻る、心室から拍出された血液の他の一部は, 後腹大動脈によって第3・第4鯉弓へ送られ, 鯉を経て, 側背大動脈に入り体循環へ向う.第4鯉弓では鯉弁は著しく退縮し, 外側半鰐には極めて小型の鯉弁が存在するが, 内側半鯉は殆んど鰐弁を有せず房状の短絡血管群よりなっている。
なお第1・第2出鯉動脈が上鯉器官に入る部分において, カムルチーでは第2出鯉動脈の分枝が第1出鰓動脈と連絡しているのに対し夢タイワンドジョウではこの分枝が第1出鯉動脈に達していない、また眼窩鼻動脈側方に卵円形血管叢が存在するが, カムルチーでは眼窩鼻動脈の分枝のみがこれに血液を送っているのに対し, タイワンドジョウではこのほかに眼窩動脈の分枝もこれと連絡している.

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