食用ゴイの品種的特性を明らかにするために, 日本産およびヨーロッパ産5品種の計数的および体形的差異を調査した。各品種の標本は, 3種類の異なった環境下, すなわち (1) 施肥養殖, (2) 流水式給餌養殖, および (3) 止水式給餌養殖で飼育されたものが用いられた。計数的諸形質では, いずれの環境下においても, カガミゴイ≈ドイツ産ウロコゴイ>ヤマトゴイ>アサギゴイミ野生ゴイの関係が, また体形的諸形質では, カガミゴイ>ドイツ産ウロコゴイ>アサギゴイ>ヤマトゴイ>野生ゴイの関係がみられた.すなわち, ヨーロッパ産養殖品種は日本産養殖品種よりも, ほとんどの計数的形質や体形的形質の数価が高く, 野生種はそれが最も低かった.